気温が低くなると、なぜか「熱燗」が恋しくなりますよね。どうして熱燗ってあんなに美味しいのでしょうか。日本酒を飲むときは大抵「冷やして」飲むことが一般的かと思います。夏の暑い日などは、冷やしてスッキリ飲むことが非常に好まれますが、実は、日本酒の真価を発揮できるのは、「温めて飲むこと」なのです。
蔵元直伝!燗酒が美味しい理由と美味しい作り方について、ぜひ参考にしてみてください。
「燗酒が美味しい」理由とは
結論:お米のふくよかな旨味が増すため
日本酒は温めて飲むことによって、旨味や甘味、辛みを感じやすくなります。たとえば…
- 甘味:低温ではあまり感じられないが、体温付近ではとても感じられる。
- 旨味:低温ではあまり感じられないが、体温付近ではとても感じられる。
日本酒は温度が上がれば美味しく感じられることが分かりましたが、温度を上げるだけで美味しくならないことも覚えておいてください。そこには「温め方」と「燗酒向きの酒質」が密接に関わっています。
■燗酒は温め方によって「味わい」は変わるのか?
ダメな見本:水位が足りないですね。
皆さんは真似しないようにお願いします。結論から申し上げると、温め方によって味わいは変わります。日本酒にとって一番よい温め方は「湯煎」です。均一に熱が徳利内に伝わり、まろやかな味わいに温まります。湯煎するときの水温は50〜60度前後が好ましいと思いますが、湯煎時間が10分以上かかります。
舩坂酒造店は真冬はとっても寒いので、外気温にお湯が左右されるので、酒燗器は約75度の温度設定で約10分程度湯煎することで激ウマ燗酒が出来上がります♪
ちなみに・・・。
電子レンジでの注意点: 電子レンジで燗酒はあまりおすすめできません。電子レンジは楽なのは良いですが、温める酒器内で温度差が生じ、味にムラができてしまうからです。湯煎は面倒ですがひと手間加えて楽しむのも一つですね。
(ちなみに若かりし頃の私は「冬=燗酒」と思い近所の酒屋で「純米吟醸」を購入。そして電子レンジで温めました。この時点で既に2つの意味でアウトなのですが。。。呼び出し音がなり、電子レンジのドアを開けると半分以上が蒸発し、レンジ内が甘くベトっとした香りが充満していました!!温め方次第であり、すべてを否定はしませんが、安心安全の旨味まろやかな湯煎がやっぱり1番と感じました。お酒も消えないし。)
■燗酒に向いている酒質について
日本酒の温度には個人個人のこだわりや、蔵元の想いがあると思います。「このお酒は熱燗まで対応できる!」や「このお酒はぬる燗でこそ旨味が引き立つ」など、様々です。では「燗酒」の定義は一体何度なのでしょうか?
- 1.飛び切り燗 55℃以上
- 2.熱燗 50℃前後
- 3.上燗 45℃前後
- 4.ぬる燗 40℃前後
- 5.人肌燗 35℃前後
- 6.日向燗 30℃前後
※燗酒はここまで
——————————— - 7.涼冷え 15℃前後
- 8.花冷え 10℃前後
- 9.雪冷え 5℃前後
居酒屋さんで「熱燗ください!」というと、大抵は50℃くらいの温度で提供されることになりますね。また、「燗酒ください!」と注文して、温度を聞いてくるような居酒屋さんだと、燗酒に対する想いがもしかしたら強いのかもしれません。それだけ、扱っている日本酒のことを熟知している証拠なのかもしれませんね。沸騰はもってのほか。温度域は注意しておいた方が美味しいお酒が楽しめます。
また、燗酒に向いている酒質としては「普通酒系」「本醸造系」「純米酒系」が挙げられます。
一概に「大吟醸・純米大吟醸・吟醸・純米吟醸」がダメというわけではありませんが、華やかな香り(吟醸香)は冷やして飲むことで軽やかに感じられるものが多いです。したがって温めることで「べた付く香り」へと変化しやすい吟醸系のお酒は、ここではオススメはしません。詳しくは次回に。
蔵元直伝 |燗酒の「美味しい作り方」(湯煎にて)
美味しさのメカニズムがこれでお分かりになったかと思います。では、ご自宅でどのようにしたら美味しい燗酒がつくれるかをお話しします。どうぞ、参考にしてみてください。
美味しい作り方:
- 手順1:お酒は温めると膨らむので、日本酒を徳利の一番くびれた所の下部まで注ぎます。
- 手順2:沸騰手前の温度のお湯に徳利を入れます(鍋の湯面は徳利の3/4の湯量が適量)
- 手順3:上部のくびれた所の上部までお酒が上がってきたらお湯から取り出してお燗完了!(5分くらいで液面が徐々に上がってきます)
┗お湯に徳利を入れた場面。
┗5分くらいで液面が徐々に上がってきます。
◆燗酒に最適な舩坂酒造店の日本酒とは?
燗酒に最適な日本酒は先述どおり「普通酒系」「本醸造系」「純米系」の3つです。つまり、吟醸香をまとわない日本酒となります。そこで、舩坂酒造店が醸造している「燗酒にぴったり」な日本酒を以下にご紹介いたします。
1.深山菊秘蔵 特別純米
◆深山菊秘蔵 特別純米 1800ml ◆深山菊秘蔵 特別純米 720ml
≪燗酒にして美味しいお酒は造れないものか…≫と舩坂酒造店の当主が平岡杜氏に相談を持ち掛けたのがきっかけで醸造された舩坂酒造店の【深山菊秘蔵 特別純米】です。
岐阜県産の酒造好適米【ひだほまれ】を旨みが出るように60%精米に留めて、岐阜県が開発しております【G酵母】で醸し出すことにより、コクのある深山菊の銘柄コンセプトを踏襲しながら、キレが良い純米酒となりました。蔵元推奨は「ぬる燗」です。
2.飛騨の甚五郎 上撰
◆飛騨の甚五郎 上撰 1800ml ◆飛騨の甚五郎 上撰 720ml
岐阜県産の「ひだほまれ」を使用して、精米歩合を65%に設定した「本醸造酒」です。
その名工の名の如く、シャープな切れ味を実現しながら岐阜県産の「ひだほまれ」を使用して、精米歩合を65%に設定した「スッキリ辛口の本醸造酒」です。蔵元推奨は「熱燗」です。
3.深山菊 上撰
この【深山菊】は舩坂酒造店すべての日本酒の基となるお酒です。創業より大切にしてきましたこの味。【甘辛中庸にして芳醇な深山菊】昨今の吟醸酒ブームとは別で、大衆的且つ不変的な味を守り続けてきました。ランクは普通酒ですが、一番神経を張り巡らせて醸造したお酒でもあります。気取らず・飾らず楽しんでください。また、個人的にはぬる燗が非常におススメ。
4.秋限定 特別純米ひやおろし
秋限定の熟成生詰酒。米の香りに、熟成酒ながら口当たりがスッキリと綺麗で、辛口のお酒と思えないほど喉越しもやわらかく入ります。冷やして飲むお酒ですが、ぬる燗にすると、米の旨みがふくよかに口の中に広がります。食中酒として幅広く対応できますが、しっかりとした味とコクが魅力の一本です。
◆秋限定 ひやおろし 各容量はこちらから(1800ml 720ml 300ml)
いかがでしたでしょうか。
次回は「熱燗に合うお酒の酒質のタイプ」などをお話ししようと思います🙋
以上、是非参考にしてみてください!
それでは、今夜も地酒で乾杯!!
そしゃそやぞ